86 歳,男性。腹部大動脈瘤切迫破裂に対し,加療後に敗血症の診断となり,バンコマイシンを含む複数の抗生剤で治療された。バンコマイシン投与を開始して 16 日目に陰部と掌蹠に水疱が出現した。抗ヒスタミン剤の内服およびステロイド外用を開始したが,体幹に水疱の新生と口腔粘膜にびらんを認め,ステロイドパルス療法を施行した。蛍光抗体直接法で,基底膜部への IgA の線状沈着を認め,蛍光抗体間接法(1M 食塩水剝離皮膚基質)で表皮側に IgA が反応し,免疫ブロット法では BP180 の C 末端に対する IgA 抗体が検出された。線状 IgA 水疱性皮膚症(Linear IgA bullous dermatosis;以下 LABD)の発症機序は不明だが,標的抗原は多岐にわたり薬剤誘発型の報告もある。原因薬剤の半数以上はバンコマイシンと報告されており,自験例もバンコマイシンによって誘発された LABD の 1 例と考えた。バンコマイシン誘発型 LABD は初発症状としてびらんや粘膜疹を呈し重症薬疹と類似した症状を呈するが,バンコマイシンの投与中止のみで軽快する場合があり,両者の鑑別が重要である。
TOSHITANI et al. (Sun,) studied this question.