51 歳,男性。口内びらん・潰瘍,頭部のびまん性紅斑が生じ,当科を受診した。口唇粘膜びらん辺縁部の病理組織では上皮内の裂隙形成,棘融解を認め,蛍光抗体直接法では上皮細胞間に IgG,上皮細胞間および基底膜部に C3 が沈着していた。正常ヒト皮膚切片を基質とした蛍光抗体間接法では,血清希釈 40 倍まで患者 IgG が表皮細胞間に反応した。抗デスモグレイン(Dsg)3 抗体は 128.7 U/ml と上昇し,免疫ブロット法でエンボプラキンとペリプラキンに対する自己抗体が検出された。PET-CT で多発リンパ節腫大を認め,リンパ節生検の結果,濾胞性リンパ腫と判明した。腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus,PNP)と診断し,プレドニゾロン(PSL)60 mg/日とともに R-CHOP 療法を計 6 コース施行した。リンパ腫は寛解に至り,粘膜・皮膚症状も改善していたが,PSL 漸減中(PSL 15 mg/日内服時点)に通院治療を自己中断した。治療中断から 3 年後に口腔粘膜病変が再燃したため再診した。抗 Dsg3 抗体は 4570 U/ml と上昇していた。PET-CT でリンパ腫の再燃はなかった。PSL 55 mg/日に加え,シクロスポリン,リツキシマブを併用した。現在,症状の軽快に合わせてPSL を漸減中である。PNP は予後不良な疾患であるが,自験例では治療中断期間を含め,5 年間と比較的長期間の経過を追うことができた。随伴腫瘍が寛解していても PNP の病勢は再燃・進行し得るため,慎重に経過をみていく必要がある。
Matsudate et al. (Sun,) studied this question.