トラウマ体験は深刻な精神的影響を及ぼすとされ、特に複雑性ptsdの診断において重要視されるdso症状(自己組織化の障害:感情調節困難、否定的自己概念、対人関係困難)は、自己や他者に対するコンパッション(慈悲・思いやり)を育み、享受する能力を著しく阻害することが報告されている。コンパッションは本来、苦痛からの回復を支える重要な内的資源であるにもかかわらず、トラウマ体験はそのコンパッションを持つこと、あるいは他者から向けられるコンパッションを受け取ること自体を困難にするという、回復への道を複雑化させる問題を惹起する。本シンポジウムは、「トラウマはコンパッションをどのように蝕むのか」という根源的な問いに対し、dso症状を手がかりとして多角的に検討を行い、トラウマが個人の内に残した「傷跡」が、コンパッションという本来回復的であるはずのプロセスをいかに妨げるのか、そのメカニズムを紐解き、臨床実践における新たな視座と介入の可能性を探求する。
Asano et al. (Wed,) studied this question.