従来の心理学は、知・情・意という心のはたらきを身体から切り離す立場のもとで発展してきた。他方、認知科学の哲学領域では、生命として存続していくことと心の働きを緊密に結びつける「生命と心の連続性」(mind-life continuity)の考え方が、21世紀初頭から急速に展開し、心の描像に大きな揺さぶりをかけてきた。しかし、それらの議論は心理学において、マイルドな身体性として部分的に受容されるにとどまり、そのポテンシャルはなお十分に発揮されているとは言い難い。そこで本シンポジウムでは、最初に「生命と心の連続性」がなぜ、心理学で問題になるのかを概観する(松井)。その後、哲学の立場から、心の存在を生命の存続過程と根本的に同一視するラディカルな見方を展望し(染谷)、次に実証的研究の立場から、無脊椎動物や原生生物の行動を手がかりに、それぞれの「環世界」の理解を目指す動物行動学の試みを紹介する(釜屋)。これらの講演を受け、指定討論では、ハードな連合学習の見方から、しなやかで有機的な動物の環境世界に至るまで、縦横無尽な応答と討議が展開される予定である(澤)。
Matsui et al. (Wed,) studied this question.