外航貨物海上保険の英文保険証券で従来用いられてきた準拠法条項の解釈に関して,学説や裁判例では様々な見解が主張されてきた。しかし,2019年に改定された準拠法条項によって,先行研究における見解の対立の多くは解消した。特に次の点は重要である。①実質法的指定説は,従来の準拠法条項の解釈におけるよりもさらに説得力を失ったこと,②告知義務に関する準拠法は日本法であることが明文で規定されたこと。従来の保険実務が告知義務の準拠法を英国法だと考えてきたのに,2019年の準拠法条項がこれを覆したのは,告知に関する2015年英国保険法のルールが柔軟で実践的である反面,日本の保険契約者等に理解させるコストが増加するからだと推測される。なお,個人が被保険者の場合は,告知義務が自発的申告義務でよいかは理論的に検討する余地がある。従来の準拠法条項と2019年の準拠法条項の普及度を含む保険実務のあり方についてはさらなる調査が必要である。
Yoshiaki Nomura (Mon,) studied this question.