本研究は,保険金受取の不確実性が個人の保険需要に与える影響を理論的に分析する。従来の保険経済学では,保険金が確実に支払われることが前提とされてきたが,現実には免責条項や非付保損害,保険会社の倒産リスクなどの多様な要因により,損失を被ったとしても保険金受取が保証されるわけではない。本研究では,こうした不確実性のもとで個人の最適な保険選択を検討し,保険契約の不履行リスクが保険需要を低下させること,またその影響は付加保険料や設定する保険金額によって異なることを示した。さらに,保険金受取の不確実性が保険の財としての性質にも影響を及ぼし,従来の理論が示す「保険は下級財である」という結論が必ずしも成立しない可能性を指摘した。本研究の結果は,保険市場の安定性確保のために,リスク管理の透明性向上や規制の強化が契約者の信頼向上に寄与し,保険需要を増加させることを示唆している。
Yuta Ueki (Mon,) studied this question.