要旨 【背景】 胸腔ドレナージによる肺損傷の対処方法には明確なガイドラインはない。胸腔ドレナージによる肺損傷に関する報告は本邦でも散見するが,多くの場合手術治療が行われている。今回我々は,胸腔ドレナージによる肺損傷に対し,刺入ドレーンからのフィブリン糊充填療法による保存的治療を行い,良好な結果を得たので報告する。 【症例】 70歳台の男性,悪性胸膜中皮腫の疑いで当院呼吸器内科により胸腔鏡下胸膜生検が行われ,検査後胸腔ドレーンが留置された。直後から気漏を認め,ドレーン刺入部から胸水漏れも認めた。3日後に胸部ctを撮影したところ,右下葉への胸腔ドレーンの刺入を確認した。呼吸循環状態は安定していたが,気漏を認めるため,刺入胸腔ドレーンからフィブリン糊充填療法術を行った。術直後から気漏は消失し,4日後に刺入ドレーンを抜去した。 【結語】 胸腔ドレーンによる肺損傷の対応において,大量出血等の重篤な合併症を認めず,呼吸循環状態が安定している場合は,刺入ドレーンからのフィブリン糊充填療法は,全身麻酔や胸腔鏡を用いず低侵襲で行えるため,有効な治療法となりえる。
安博 et al. (Thu,) studied this question.