巨大鼠径ヘルニアの修復は多量の臓器を腹腔内に還納するために腹部コンパートメント症候群(以下,ACS)の発症に留意する必要がある.症例は61歳,男性.幼少期より右鼠径部の膨隆を認めていた.徐々に膨隆が増大し,用手還納が困難となり前医を受診した.CTにて腹腔内臓器の多量脱出を認め,手術目的で紹介受診となった.透視下でヘルニアの整復を試み,バイタルサインは保たれたが再脱出を繰り返すため,手術の方針とした.右鼠径部より陰囊にかけて約13cmの皮膚切開,末梢より中枢までヘルニア囊を剥離し,hug techniqueにて腸管を腹腔内へ還納後,20×20cmのheavy weight meshを用い腹膜前修復術を行った.術後はACSを危惧しICUに入室し,術後8日目に経過良好で退院となった.術前に試験的還納によるACSのリスク評価をし,術中にhug techniqueで対処し,良好な経過が得られた1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
NAKAMURA et al. (Wed,) studied this question.