古代ギリシア語テッサリア方言の前置詞 μεξ (mex) ‘as far as, until’ は、μες (mes) の異 形態として一例のみ存在が確認される。この語形について、本論文はεξ/ες (ex/es) ‘out of’ からの類推によって生じたものと論じる。μεξ (mex) が μέχρι (mekhri) から生じたとする 従来の説は音変化の面で受け入れ難い。テッサリア方言は、語末母音消去の結果として異 形態を持つ前置詞が多かったため前置詞に新たに異形態交替を受け入れる素地があり、ま たアッティカ・イオニア方言の ἐξ/ἐκ (ex/ek) とは異なるεξ/ες (ex/es) という異形態交替を 持っていたので、新たにμεξ (mex) という形式を作ることができたと考えられる。
Toru Minamimoto (Mon,) studied this question.