長野県小谷村旧戸土地区において,あがりこ型樹形をもつ台伐り萌芽「とうだい」ブナが優占する林分の利用実態を,聞き取りと毎木調査により明らかにした。台伐りは地元青年団により1950年頃まで行われ,伐採した萌芽幹は薪として小学校のストーブ燃料に供された。春先の残雪上で太い萌芽幹を鋸で伐採し,細い幹を残して再萌芽を促す本作業は,秋季の地際伐採による製炭とは異なる利用体系であった。とうだい元株(n=14)は平均胸高直径105.1 cm,萌芽発生高4.7 mで,萌芽幹(平均5.1本)の直径分布は10-20 cmにピークを示した。40×40 m方形区内の立木(胸高直径≧5 cm)はすべてブナであり,とうだい(6個体)が胸高断面積合計(58.40 m2/ha)の約4割を占めた。単幹の大径木は自然更新,中径木は薪炭利用後の一斉更新に由来し,複合的な資源利用が示唆された。とうだい樹冠下には稚樹の定着が認められ,ブナの継続的な更新が示唆された。
Hideyuki Ida (Sun,) studied this question.