80 歳,男性。胃癌で胃全摘術の既往があり,以前よりアルコール多飲もあった。初診時の 10 年以上前に皮疹が出現し,乾癬を疑われ他院に通院していた。初診時,比較的境界明瞭な表面に鱗屑を付す角化性の紅斑が散在し,背部には一部小膿疱を認めた。経過中,びらんや鱗屑を伴う環状を呈する紅斑へ変化した。血液検査にてナイアシン,ビタミン B1,ビタミン B12,および亜鉛の血中濃度の低下を認めた。これらの補充を行い,一時皮膚症状が改善したが,再度皮疹が増悪し,自己免疫性水疱症を疑った。血清抗デスモグレイン 1 抗体値が 9480 U/ml と高値であり,皮膚病理組織学的に角層下に棘融解を認め,蛍光抗体直接法で表皮細胞間に IgG の沈着を確認したことから,落葉状天疱瘡と診断した。自験例では,栄養障害が皮膚病変の特異な臨床像に影響を与えた可能性が示唆された。栄養障害に伴う皮膚症状として代表的なものとしてペラグラや腸性肢端皮膚炎,壊死性遊走性紅斑があるが,これらの疾患は類似点も多く,一連の症候群として「deficiency dermatoses」「栄養障害性紅斑症」「栄養障害性紅斑」「栄養障害性皮膚症」の病名で報告されている。びらんを伴う症例では,天疱瘡などの自己免疫性水疱症を念頭において診療にあたる重要性を再認識した。さらに,栄養障害の存在が疑われる場合には,栄養障害性紅斑症の鑑別を行うことが重要である。
OZONO et al. (Wed,) studied this question.