要旨 【背景】 蝶形骨洞炎は副鼻腔炎の中でも稀であるが,海綿静脈洞に近接しており頭蓋内への感染波及を来しやすい。 Fusobacterium necrophorum ( F. necrophorum )は嫌気性グラム陰性桿菌で,侵襲性が高く,Lemierre症候群など敗血症性血栓症を介して遠隔臓器膿瘍を形成することが知られている。今回,蝶形骨洞炎を契機に同菌による髄膜炎,硬膜下膿瘍,両側腸腰筋膿瘍を併発し,外転神経麻痺の出現を契機に外科的介入を行った1例を経験した。 【症例】 22歳の男性。発熱と頭痛を主訴に来院し,頭部CTで右蝶形骨洞および上顎洞に陰影を認めた。髄液検査で細菌性髄膜炎が疑われ,抗菌薬治療を開始した。硬膜下膿瘍も認めたが当初は保存的加療とした。その後,外転神経麻痺が出現し膿瘍増悪を認め,耳鼻咽喉科で副鼻腔開放術を施行した。血液培養から F. necrophorum を認めた。経過中,脳外科により開頭膿瘍摘出術,放射線科により両側腸腰筋膿瘍ドレナージを施行し,感染と神経症状の改善を得た。 【結語】 蝶形骨洞炎に伴う F. necrophorum 感染は,頭蓋内および全身播種を来す危険がある。神経症状や遠隔膿瘍を認めた場合には,耳鼻咽喉科・脳外科・放射線科が連携し,早期に段階的外科的介入を行うことが転帰改善に重要である。
Shimizu et al. (Wed,) studied this question.