要旨 【背景】 頭部外傷に続発する脳血管攣縮(post–traumatic vasospasm: PTV)は症候化する頻度が低く,死亡例の報告は限られる。 【症例】 40代の男性,階段からの転落で受傷し救急搬送された。来院時GCS E1V1M5の意識障害を認めた。頭部CTで右シルビウス裂に血腫を認め,外傷性くも膜下出血と診断し気管挿管のうえで入院とした。入院後に血腫の増大を認めたため,内因性関与を疑い脳血管撮影を追加したが出血源は同定できなかった。抜管後,意識レベルはGCS E4V4M6へと改善したが,第7病日にGCS E1V1M4に再び意識障害が進行した。この際のCTAでは前大脳動脈および中大脳動脈の狭小化を認め,MRIで広範な梗塞を認めたことから,PTVによる脳梗塞と診断した。内科的加療で対応したが,脳腫脹は制御不能であり第11病日に死亡した。 【結語】 本症例ではPTV診断の時点で広範梗塞を認め,治療介入機会に乏しかった。若年,高度意識障害,厚いくも膜下出血といったPTVのリスク因子を複数有する高リスク症例であったが,鎮静管理により神経症状の経時変化が認識しづらく,PTVを捉えにくい状態にあった。PTVの高リスクかつ鎮静管理中の症例では,より検査の閾値を下げて好発時期での積極的な血管評価が必要と考えられた。
峻基 et al. (Sun,) studied this question.