要旨 【背景】 壊血病はビタミンCの欠乏によって結合組織の形成に関与するヒドロキシプロリンの合成が低下することにより,微小血管壁の脆弱化による出血傾向などを呈する疾患であり,現代でも偏食やアルコール使用障害などで生じる栄養失調患者で認められている。今回我々は,アルコール使用障害による栄養失調が背景にあり,壊血病の関与が疑われた下肢筋肉内血腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。 【症例】 61歳の女性。20代からアルコールを多飲し,食事は1日2食で肉や野菜は摂取していなかった。搬送2週間前から口腔内出血や下腿腫脹の所見が出現し増悪したため,救急要請され当院に搬送となった。救急外来受診時,収縮期血圧80mmHgの低血圧を認め,血液検査ではヘモグロビン3.3g/dLの著明な貧血や血液凝固障害などを認めた。また,造影CT検査では左下肢の筋肉内血腫を認めた。集中治療室に入室し,適宜輸血を行った。出血傾向に対する検査では,肝障害に伴うと思われる軽度の凝固因子低下の他,入院6日目に提出したビタミンC血中濃度の低値を認め,壊血病が疑われた。血中濃度提出の同日からビタミンCの投与を開始し,徐々に輸血量は減少した。 【結語】 アルコール使用障害など栄養摂取不足となりうる背景がある患者で出血傾向を認めた場合,壊血病も考慮する必要がある。
史生 et al. (Sun,) studied this question.