これまでの心理的支援やその効果検証では,症状や行動などの増減に注目した評価が中心であった。「どの治療法の効果量が大きいか?」といった画一的な評価だけでは,支援の柔軟性が失われていくだけでなく,学派間の新たな対立を生み出しかねない。そこで,本企画では症状や行動のつながりや相互作用(ダイナミクス)を捉えることの意義と臨床応用の方法を議論する。はじめに,プロセス・ベースド・セラピーの観点から,症状の変化を捉え,フィードバックした臨床実践について紹介する(菅原)。続けて,アスリートのコンディショニングにネットワーク・アプローチを応用した事例とその効果検証について報告し,不調や状態の変化の前に大きく変動する指標である早期警戒信号を活用した超早期介入を紹介する(八斗)。加えて,社会的相互作用の構造的パターンを可視化する「状態空間グリッド」という評価手法を紹介し,ダイナミック・システムズ・アプローチに基づく対人プロセスの検討とその臨床応用について議論する(竹島)。最後に,指定討論者(樫原)を迎え,心理ネットワークとその応用の視点から,クライエントの個別性を重視した柔軟な支援について意見を交わす。
Chishima et al. (2025) studied this question.