食は腸内環境を形成する重要な要素であり,現代においては「機能性」が求められている.油を構成する脂肪酸は,生体内の様々な組織や腸内細菌によって機能性のある代謝物へと変換される.その中でも,特にω3脂肪酸から産生される代謝物は,抗アレルギー・抗炎症作用を有することが明らかになっている.一方で,同じ油を摂取しても産生される代謝物の量や種類には大きな個体差があり,その差が食の効果に影響する可能性が指摘されている.この個体差を規定する要因やメカニズムを解明し,その特徴に応じた食の提案を行う精密栄養学的な視点が,アレルギーの予防や改善においても注目されている.このような視点を社会実装するため,脂肪酸と特定の細菌との組み合わせ,有用代謝物の構造的特性への介入,人工知能を用いた個別化・層別化の可能性,さらに継続可能な普及に向けた低コストな検査技術の開発などが進められている.これらの研究により,個人差に応じた栄養戦略が社会に広く展開され,アレルギーの予防や治療も含めた新たな健康社会の実現が期待される.
Hotta et al. (Fri,) studied this question.