本研究の目的は,定年退職した60代半ばまでの養護教諭を対象に,定年退職を通して働くことを問い直す過程について,質的研究法の複線径路等至性アプローチ(Trajectory Equifinality Approach: TEA)を用いて明らかにすることであった。調査方法は,養護教諭として定年退職を迎えた60代半ばまでの女性10名に対して半構造化面接を行い,TEAを用いて分析した。分析を進める中で働くことを問い直す過程は,第1期の〈定年退職を意識する頃から定年退職まで〉,第2期の〈定年退職後から目標とする退職年齢まで〉,第3期の〈未来展望〉の3期に区分された。それぞれの時期では,分岐点や等至点において自己の内面を省察する気づきとなる促進的記号(サイン)が発生し,価値観や信念に影響を及ぼしていた。養護教諭が定年退職を通して働くことを問い直す過程は,〈ずっと働くことは当たり前のこと〉から〈働かないのは未知の世界のこと〉へと価値観や信念が派生して,働くことは当たり前であることがより強固なものとなり,〈働くことは社会と繫がること〉へと変容していた。また,定年退職に至った径路は,〈Ⅰ型:再任用フルタイムの養護教諭〉,〈Ⅱ型:非常勤の養護教諭〉,〈Ⅲ型:転職〉,〈Ⅳ型:無業〉の4類型に分類された。
Ehara et al. (Mon,) studied this question.