理科の実験活動においては,教員による安全指導と生徒の安全意識が重要である。安全指導の場面では危険個所を含むイラスト教材が広く活用されている。しかし,従来の方法では安全指導は教員の力量に任されるなど,実践上の課題がある。本研究ではそれに対処すべく,ガスバーナー使用時の不安全な場面を描いた不安全イラストと,適切な準備状態を示した安全イラストを作成し,それらの教材としての性質および有用性を検討した。不安全イラストは危険項目を7個に絞った。教材の性質評価のための調査では,不安全イラストのみを用いて実施した「不安全発見テスト」と,不安全イラストと安全イラストを用いる「安全確認間違い探し」を教育学部の大学生194名,タイの大学生88名,中学1年生139名を対象に実施した。不安全発見テストの結果,項目反応理論の1母数ロジスティックモデルにより分析した。それにより,「不安全発見テスト」は十分な識別力を有し,特に能力が平均以下の層を識別するのに適した教材であることが示された。調査対象とした群間には能力値の有意な差が認められて,中学生が最も高く,タイの大学生が最も低かった。安全確認間違い探しでは,不安全箇所の全問正解者数が調査対象の半数を超え,本教材が教員の指導漏れを防ぎ,統一的な安全指導が可能となる可能性が示唆された。一方で,全員が全問正解できるわけではない実態も明らかとなった。
Hina Morishige (2026) studied this question.