ポリフェノール化合物の高精度な分析において水素核(プロトン)の定量NMR(qHNMR)は有用な手法であるが,通常は炭素結合プロトン(C-H)が定量シグナルに用いられる.構造的特徴であるフェノール性水酸基(Ar-OH)のシグナルは,重水素置換やプロトン交換によって容易にシグナルの消失や広幅化を来すため,定量対象から除外されてきた.本研究では,このAr-OHを信頼性の高い定量シグナルとして活用することを目的に,金属塩添加によるシグナルの先鋭化効果を検討した.イソフェルラ酸,没食子酸,ルチンをモデルとし,塩化マグネシウム六水和物(MgCl2)を飽和させたDMSO-d6を溶媒に用いた結果,すべてのAr-OHシグナルにおいて顕著な先鋭化が認められた.ルチンにおいては,複数のAr-OHに加え,糖鎖由来の水酸基(OH)シグナルについても安定的に観察できる可能性が示唆された.各Ar-OHから得られた定量値はC-Hシグナルの結果と良好に一致し,高い再現性を示した.本手法は,利用が限定的であったAr-OHを,ポリフェノール化合物の精確な定量及び純度評価に資する新たな指標へと転換する有用な技術である.
Kato et al. (Sun,) studied this question.